香港極妻日記

海外生活30年目の「極妻(極道ではなく、極楽なアメリカ人妻の略)」の楽しい香港での生活、旅行、美味しいモノ、愛犬の話等、さくっとご紹介♪

モルディブのスピードボートに轢かれて観光客が死亡

今月、モルディブのアリフダール環礁に位置するラディソンブル・モルディブに滞在していた55歳のアルゼンチン人男性が、南アリ海洋保護区(SAMPA)でジンベイザメとのシュノーケル・ツアー中に、近くを通過していたIcom Greenのスピードボートに轢かれて亡くなるという悲しい事故が発生しました。

 

adhadhu.com

 

事故の際に男性の腕と顔の一部が切断される様子を捉えた動画や画像がSNS上で拡散されているそうですが、男性の他にも数十名の観光客がジンベイザメを追いかけているシュノーケル・エリアを猛スピードで航行していたキャプテンに対して非難の声が上がっています。

 

どうやら、男性を轢いたボートの運航スタッフはジンベイザメの発見情報を受けていたものの何らかの事情で大幅に遅れてしまったらしく、かなり急いでいたため、通常は避けるべきシュノーケル・エリアを近道として安全確認をせずに猛スピードで男性の真上を通過したようです。

 

 

 

また2ヶ月前の11月には、ジンベイザメの研究の為にモルディブを訪れていた15歳のシンガポール人の女の子も同じくアリフ・ダールのディグラ島近くの南アリ海洋保護区(SAMPA)のポイントで、ジンベイザメを見る為にボートから降りた直後にボートのプロペラに巻き込まれて亡くなるという悲しい事件がありました。

 

stomp.straitstimes.com

divernet.com

 

どうやら先生と生徒ら数名が海に入った直後に再びボートが動き出したようで、先に海に入っていた女生徒がプロペラに巻き込まれ、助けようとしたスタッフがボートを逆走させたことで致命的な怪我を負ったようですね。

 

edition.mv

 

実はこうしてボートによる事故に巻き込まれているのは人間だけではなくて、実はジンベイザメのおよそ6割近くが身体にボートによる損傷が見受けられたデータがあるそうです。

 

ジンベイザメもですが多い時には数百枚のマンタがプランクトンを食べにくることで有名なバア環礁にあるハニファルベイでも、同じように周辺のリゾートからシュノーケル・ツアーが組まれていますが、10年以上前から厳しい規制が敷かれ、今では監視役のレンジャーがドローンで常にチェックしたり、湾内ではすぐに停止できるくらいの遅いスピードでしか走行できないといった規則があるので、ハニファルベイでこういうった人為的な事故が起こることはまずありません。

 

南アリ海洋保護区(SAMPA)ではそういった規制がなく、ジンベイザメを一目見ようとリゾートやツアー会社のボートで送り込まれる観光客の数は連日100名超えだそうで、どのボートもゲストを楽しませるべく、我先にとスピード勝負の毎日だそう。


 

我が家も過去に一度ジンベイザメのツアーに参加しましたが、地獄のような光景で、あまりにもジンベイザメが可哀想すぎて、もう2度と参加しないと決めましたが、ツアーや経緯についての過去の投稿です(ノヴァの投稿の後半部分に記載してあります)。

 

gokutsuma.hatenablog.com

 

2013年当時のリリービーチのボートから同エリアに飛び込んで、皆で一斉に猛ダッシュで泳いでジンベイザメを追いかけた際のカオス状態を撮影しました。

 


上のボートは他のリゾートのもので、シュノーケルをしている数十名の観光客の半分以上が他のリゾートからのゲストでした。

 

前後左右を泳ぐ人たちのフィンで蹴られたりクロールする手で何度も殴られたりと、もみくちゃになりながらも、海面より数メートル深いところを泳いでいるジンベイザメを追いかけながら撮影した中の一枚ですが、GoProみたいなものをスティックをつけて撮影する人や、禁止されているのにジンベイザメのところまで潜って触るという最低な人もいました。

 

 

高額な料金を支払い、船酔いに苦しみながら長時間拘束されて、ようやくジンベイザメを目にしたときは興奮しましたが、多くのマナーの悪い観光客の行動を目の当たりにし、常に人々に追いかけられたり触れられたりする様子を見ていると、彼らにとっては大きなストレスに違いなく、またボートに轢かれて傷を負うジンベイザメの数は半数以上と知って、とても可哀想だと思ったので、二度とジンベイザメのツアーには参加しないと心に決めました。

 

 

 

南アリ海洋保護区(SAMPA)は140キロほどの面積で、2009年からジンベイザメのツアーに関する規制が始まったそうで、昨年幾つか修正された際の内容は以下の通りです。

 

ジンベイザメの周囲250メートルを接触ゾーンと定義し、一度に3隻以下の船舶をその地域に入れることができると述べています。船舶は、接触ゾーンで1時間あたり最大5ノットの速度に制限する必要があります。ジンベイザメの50メートルの境界内では、速度をさらに時速2ノットに下げる必要があります。緊急時には、スピードボートは時速5ノット以上の速度でその地域を離れることができます。

 

上の規制を読む限りでは、ハニファルベイみたいにはちゃんとジンベイザメとツーリストの安全は確保されていない感じですね。。。

 

今回立て続けに観光客が2名も亡くなられたことから、ようやく政府が重い腰を上げて、新しい規制を導入することを決定したようで、早くて3ヶ月後には施行されるそうです。

 

新たな規制として、ハニファルベイと同様に監視システムを導入すること、このエリアに入るスピードボートは全て登録制とし、必ずプロペラ・ガードを装着すること、ボートのスタッフやガイドは適切な訓練を受けること、エリア内での速度制限を厳守すること、さらにツーリスト5名につき1名のガイドを配置することが決定されたようです。

 

これによりツアー参加者の安全性は向上しましたが、ジンベイザメのストレスや保護に関しては依然として課題が残っています。

 

 

 

*1月27日追記;詳細です。

 

visitmaldives.com

 

モルディブ政府は今回の死亡事故を受けて、ジンベエザメ遊覧船に対してプロペラガードの装着を義務付けることを決定しました。

 

今後、南アリ海洋保護区(SAMPA)内の遊覧船にはこのプロペラガードが必須となり、他のジンベエザメの生息地にも適用範囲が広がる見込みで、今後3ヶ月以内に施行される予定だそう。

 

また、マンタで有名なハニファルベイ同様に、SAMPA内の観光船は厳重に監視され、ジンベエザメとの接触が予想される区域では船の速度が5ノットに制限され、ジンベエザメの近くではさらに2ノットに制限されることになるそうです。

 

この取り組みにより、観光客の安全が確保されるだけでなく、最も重要なことは、私たちの欲望や経済的利益のために傷つけられていたジンベエザメの安全も守られることが期待されますね。

 

 

 

 

 

ボート事故繋がりで、外洋でボートに轢かれたニュースです。

 

2023年頭に北マーレ環礁にあるThulusdhoo島のゲストハウスに滞在していたポーランド人観光客がクダ・ヴィリンギリ・リゾートとThulusdhoo島の間にある水路を水泳中にボートのプロペラに巻き込まれて亡くなられたそうです。

 

atolltimes.mv

 

Thulusdhoo島とクダ ヴィリンギリ リゾートはどちらも外洋に面していて、空撮画像でも水路が割と狭いのが見てとれますね。

 

 

この水路は、毎朝外洋からイルカの群れが入り、夕方には再び外洋へ帰る様子が見られるためとても人気が高いスポットらしく、近隣のリゾートからは、イルカを間近で観察するためにThulusdhoo島へのツアーも行われているそう。

 

イルカが現れると、多くの観光客が少しでも近くで写真を撮ろうと防波堤に近づく傾向があり、水路には常に多くのボートが行き来しているため危険なので、水路に出ないようにと常に注意が促されているそうです。

 

しかし、男性はイルカと泳ぐ姿を撮影しようと夢中になってしまい、何度も注意されたにも関わらず水路まで出てしまい、たまたま走行していたボートに衝突して巻き込まれて亡くなってしまったそうです。

 

モルディブの殆どのリゾートでは、ボートが出入りするジェッティ周辺での遊泳は禁止されていると思われますので、皆さんも十分に注意してください。